活動報告

<卓話> 「 医療の安全のために 」

<卓話>      「 医療の安全のために 」
公益財団法人 日本心臓血圧研究振興会
附属榊原記念病院 副院長 相 馬 孝 博 様

20140328.jpg3年前の3月11日の大震災その時、あなたはどこで何をしていましたか。そしてもしこの場で起こったならばどうしますか? この建物は安全でしょう。もしあなたが子供を連れて飛行機に乗っていたとします。非常事態で酸素マスクが降りてきました。マスクをつける順番は? ➀自分が先にする、②子供のマスクを先につける、皆さんの答えはどちらでしょう。優先するべきは、➀自分が先です。なぜかといえば、それは自分(大人)が先に倒れてしまうと、その後に子供を助けることもできないからです。 危機管理の基本は2つです。第1に自分の身の安全を確保すること。第2に仲間を集めることです。自分が医師や救急救命士だったとしても、心臓マッサージを始める前に大声で人を集めることが大切です。

次に最高の医療について考えてみましょう。もしあなたにお金がたくさんあって、しかも1か月以内に手術をしないと命がないとしたら、あなたはどうしますか? ジャイアンツファンの医学生の答えは、「あらゆる情報源を使って一番うまい外科医・看護のプロとその道の最高の人材を探し出し、彼らとともに最高の設備の整った病院に行く」でした。しかしこういうオールスターチームは本当に最強なのでしょうか? 実は外科医相馬の「手術に失敗する4つのH」があります。①はじめて ②久しぶり ③変化 ④ヒモつきです。なぜヒモつきは悪いのか?それは平静心を失い、いつも通りの手術ができないからです。いつも通りの定期運行の飛行便はチャーター便の100倍安全というデータがあります。実は医療はバンジージャンプと同程度の危険度があります。

WHO(世界保健機関)は医療安全教科書を発行しました。日本には医療教科書はあったが安全に対するものはなかったので、私が東京医大の教授だったころに日本語版を出しました。インターネット等で見てみてください。そこには日本の一般医療書には無い内容で、「患者の安全とは。そのために有能なチームプレーヤーであること。エラーに学び患者を害から守る等」を載せています。航空業界も一昔前の航空機事故を教訓に皆で協力する組織にし、事故が減ってきています。

最後に、より良い手術(医療)、より安全な医療を受けるためには、医者が患者さんに手術の必要性や方法、リスク等を一方的に説明するだけでなく、患者さんも言いたいことが言える状況を作り、患者さんの「参加」が重要なのです。

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