活動報告

「年男/年女(申年)卓話 」  前川静子 会員

皆様、あけましておめでとうございます。今年は申年です。東北の温泉では、お猿さんが群れを成して入ってきて長時間気持ち良く岩風呂につかっているそうです。お猿も私達と同じ温泉が大好きなのですね。
お茶の世界では11月初めの立冬の日、炉を開けてお茶のお正月といい、この日からもう申年です。猿の絵の付いた茶碗などで楽しんでいます。
 ところで、○を書いてある掛け軸を旅先や寺院などでご覧になった事がおありかと思います。これは、円相といって茶道に使われている掛け軸の中で最も広く知られたもののひとつです。空・風・火・水・地と言って世界を構成している五つの要素があります。この五つの要素を一筆で書くと円になると言います。
つまり宇宙全体の姿。世界の究極の形を最も簡潔に表現したものが円だというのです。角のとれた円満の円でもあります。その時の感情によってとらえ方が変わり解釈は己の心に有ると言われ、禅語の難しい所でもあります。
 雪・月・花と書いて雪月花、ふっと心が癒される言葉でこれも禅語です。自然と触れ合い四季の移ろいを感じる情緒があります。日本の風光美の代表と言って良いのではないでしょうか。この雪月花を感じる心を大切に育んで行きたいと思います。
 私たちの国には、「謙譲の美徳」という今の時代には忘れ去られたかのような、日本特有の美しさ、道徳の観念があります。外国の方々には理解されにくいでしょうが、自分を前に出さず、相手を敬う基本姿勢は、本当に力のある人でないと出来ないのではないでしょうか!本当の強さとは、何かを伝えて行く事が出来るのは、何かをコツコツと成し遂げる姿勢ではないでしょうか。
世界との関わりを見て思います。ノーベル賞、文化勲章、スポーツ界等で頭角を現した方々は、その良い例だと思います。たとえ他国から非難を受け一時的に立場が悪い状況になっても、分別のある日本独特の精神で世界の平和を実現して行けたら素晴らしいと思います。
未熟なサルの私の話でございましたが、新年の挨拶に代えさせて頂きます。ありがとうございました。

<第3138回 「年男/年女(申年)卓話 」>
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