活動報告

卓話:「バネでつなげる遊び心 」

日付:2015/09/18
卓話者:村井秀敏 様 五光発條株式会社 代表取締役
卓話:「 バネでつなげる遊び心 」
短い時間ではございますが、よろしくお願いいたします。
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バネを作っております。皆様がお目にされる機会はなかなかないと思うのですが、かなり色々な部品の中に入っております。今日は折角ですので、バネを作っている会社があるということと、バネには種類があるということを知っていただこうと思っております。
バネには、押しバネ・引きバネ・ねじりバネ(プラス 特殊バネ)と大きく分けると3つの種類があります。みなさんが思い浮かべる「押しバネ」は、ボールペンのノック式のところだと思うのですが、実はバネの業界ではその先端、ボールペンのボールを押さえる部分のバネのこととなります。
「引きバネ」は、隙間なく・両サイドにフックがついており、そのフックを引っ張ったときに発生する戻る力を利用するといったようなものです。代表的なものとして、皆様ご存知のエキスパンダーがあげられます。3つ目「ねじりバネ」ですが、表に出ているのは握力を鍛える健康グッズがそれであります。
 さて、私は2010年9月に代表取締役に就任したのですが、そのころのバネ屋を取り巻く環境は、正直良い話は一切ありませんでした。しかしながら、立場上継がなければいけないということもありまして、『今後、100年後もここ日本でバネを作り続ける』と宣言し就任いたしました。 
日本でやっていくためには、「めだってナンボ」ということと、「高付加価値化への転化」だということで、まずは自社を知ってもらい、自社のビジネスモデルが他でも通じることが有るのかということを考え、そして、そもそも今のビジネスモデル自体が崩壊しているので、「バネってなんだろう」と向き合いました。
バネというのは「話の途中でねじと間違えられる機械部品」と一般的にいわれるのですが、五光発條グループでは「人類が作れなかった永遠不滅の超生命体」と大胆にとらえました。
ある所にバネを入れることによってエネルギーを生み、まさに生命が宿るかのように無限の可能性があるものではないか、と強引に思い込むことにしました
「めだって高付加価値化」ということで、今まではお客様から注文があった図面通りのものを作ってきたのですが、はじめてバネを使った自社製品化にチャレンジしました。
そして、今後10年先20年先・少子高齢化等を検討したところ『マイクロモノづくり』という発想に出会うことが出来ました。その奥義は何かというと、従来の安価で大量生産・大量消費からシフトする、少量生産・高付加価値の『自分が欲しいモノ・人と違うものを創り出していく』ということであります。
私はレゴが大変好きでしたので、「世界中の人々をワクワクにつなげたい」という思いで、大人が誇れるような金属で出来た・動きがあるブロック「SpLink」という商品を創りました。
スプリングをリンクする、ただ繋げていくだけのニュータイプのブロックなのですが、バネの気持ち良さ・楽しさを実際にバネに1回でも触ってもらい知ってもらいたい、という思いで創りました。
女子営業マンのアイデアで作った名刺入れ(自分で作らなければならないのですが)や、「龍」等をお持ちいたしましたので、時間がありましたらご覧になって帰っていただければと思っております。
実は今、うちのような会社や2-3名しかいない町工場で、2つ大きな革命が起きています。
Facebookとクラウドファンドです。Facebookによって、時間に関係なく「困ってます」という要望に応える事ができ、色々な形で繋がることができています。また、クラウドファンドにより、一番難解だった資金を集めることができるとともに、多くの人から色々な意見をもらえるようになりました。自分の頭の中だけで考えて商品を世の中に送り出した結果売れなかったということが良くありましたが、クラウドファンドにより商品を世の中に出す時点ですでにブラッシュアップされており、ファンが付いている状態で出せるようになったので、「出したのに売れないよ」という事が無い時代になっています。
弊社では、せっかくの技術を活かすべく、この2つを使いながらぞくぞくと様々な試みをしています。
その中の一つが、まさかのファッション業界への進出です。デザイナーと組んで「Spring Jewelry」という身にまとうバネを作りました。軽量化と柔らかさに努め、完成品として販売しています。
またつい先週、デザイナーさんと組んで「Factionary」という、町工場の人たちが技術を持ち寄って、ステーショナリーを作っていきましょうという試みで、カードスタンドを作りました。
色々なことをやってきました、やっています。ところが、今いい気になって話してきたのですが売れません。そんなに甘いものではないぞ、というのは身に染みてわかっているところなのですが、そんなことも言っていられないので、今ちがうステークホルダーへの存在意義の訴えという事も進めています。
地域・行政といった今まで考えもしなかったステークホルダーに対しての訴えです。
全日本製造業コマ大戦に3年間神奈川代表として参加しておりますが、直径2センチのコマを片手の指で回すというコマ大戦によって自社の技術やアイデアをアピールできるというものです。今年の2月に7カ国が参加する世界大戦があり「絶対にふれれば負けない」というコマを作ったのですが、「絶対に当たらない」というコマに負けてしまいました。
また、「バネ屋を100年後もやりますよ」と言っているのですが、「将来バネ屋さんになりたい」という人はいません。そこで工場見学に力を入れまして、「日本一話したくなるアミューズメント型体験工場見学」という名で、インターンシップの大学3年生の女の子に半年間、悪戦苦闘しながら取り組んでもらっています。早速、小学生などが見学に来てくれて、うれしいお手紙をもらったりしております。
そして、先ほど今日は何の日とありましたが、日本記念日協会に申請し、8月10日をバネの日に認定してもらいました(バネ→発条→はつじょう→はちじゅう)。来年度は、バネ屋さん業界全体でイベント等をやりながらバネの素晴らしさを知ってもらおうと考えております。
ということで、「わくわくモノづくりで日本を元気にして、世界を笑顔に変える」といった取り組みをしております。今日は卓話というよりは、皆様にご相談に上がったようなところでございますが、バネにご興味がございましたら、是非お知恵とお力を拝借したいなと思っております。ご清聴ありがとうございました。
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