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<卓話> 「IT社会のコミュニケーションの問題~親子関係から職場関係まで~ 」

                          株式会社青山学芸心理 代表取締役 高 山   智 様
【パワポの問題・プレゼンと講義の違い】<卓話>  「IT社会のコミュニケーションの問題~親子関係から職場関係まで~ 」
「パワポ」という言葉があります。パワーポイントというプレゼン用のソフトです。「今日の講演でも使おうかな?」と思いましたが、やめました。大学の講義がパワポで行われています。学生たちはパソコンが持ち込み自由ですので、ノートに筆記する代わりに、パソコンに入力しています。大学の先生方と話すと、「パワポはよくない」と言うのです。つまり、学生が授業を聴かないということです。
パワポ通りのプリントが配られたり、中学、高校でもプリント学習があったりすると、講義を聴かなかったり、あるいは講義を聴きながらメモを取ったりしないのです。プレゼンの先端をいっているアメリカではどうしているかと聞いたところ、「プレゼンをするときにパワポを使うな」という授業になってきているそうです。
それは当然です。“パワポを使っている授業で聴かない人がいる”とか、“聴いていてもよく分からない”とか、それが身にならない人たちが増えてくれば、「パワポを使うのをやめよう」ということになり、そうやって時代は変わっていくのです。
ですから、“新しい機械や道具が入ったとしても、それが皆さんにとって大事なものなのか”と言う議論が必要になってきます。
 
【メールの危険性】
「フェイスブック」、皆さん入っていますか? 私は入りません。なぜかというと、私の仕事は人から悩み事を相談されるという仕事なので、色々な方たちが私の所に相談に来られます。そうした時に、人と人のつながりが分かってしまうと大変なことになります。「こういう人と友達なんだ」と思われると困ることがあるので、私は入らないのです。さらに、自動的に、ともだち申請がいってしまうことがあります。
また「ライン」というものもあります。少人数の人たちの為にコミュニケーションするグループを作るためのものです。これも非常に危険で、ラインはメッセージが送られたときに、そのメッセージを受信者が読んだかどうかが分かってしまいます。すると読んだか読んでいないかが相手に伝わってしまうので、「読んだのに、何で返信しないんだ」ということになってしまいます。
フェイスブックは、ともだち申請が、ともだちのともだちからも沢山来るし、申請を受付けないと「何で友達になってくれないんだ」ということになってしまいます。簡単に言うと“妄想”ですよね。
「ツイッター」も、どこかの市長がつぶやいた事で大きな波紋が起きているように、皆さんが見ているものですから気をつけなければならない。5年ぐらい前までは、東大生のほとんどが「ミクシィ」をやっていましたが、今は誰もやっていません。
“盗聴、ハッキングは日常化”と書きました。ある相談者で、とてもコンピューターの知識がある方が、ひきこもって、隣のうちの電話回線を使ってインターネットをやっていました。当時は光回線ではなく電話回線なので、その回線を引っ張ってきて通信をしているのです。だから、皆さんがコンピューターで送受信しているメールの内容が、ほとんどが読まれていると思って間違いありません。
メールやインターネットのたとえ履歴を削除しても、どこに残っているのか分かるので、そういう情報を探る専門の人もいるのです。やはり、IT社会になって便利かというと、それだけ危険なことも日常的にいっぱいあるということです。
 
【人間関係への影響】
更に、IT社会を背景にした、“いじめ”もあります。広島で起きた女子専門学生殺人事件、昔あったコンクリート詰め殺人事件と、ひとのつながりと事件の形態は、とてもよく似ています。しかし、今回の事件に関連した人たちはどこで繋がっているのかというと、多分、インターネットです(本講演のあと、LINEであることが判明)。従って、匿名性が高いこともあり、生の人間と接している実感がどんどん薄れているのではないかと思うのです。
さらに、バーチャルリアリティーという言葉がありますが、バーチャルが問題なのではなくて、リアリティーが問題なのです。いじめでも、夫婦関係でも、なにかこじれた人たちの妄想は、その人にとってリアルなのです。なぜなら、皆さんの心の中にある「わだかまり」や「つらい事」のイメージは、どんどん膨らむようになっているからです。実際に起きていないこと、他の人から見たらたいしたことがなくても、それはリアリティーがあるのです。
だから、いじめられた人にとって、いじめは、まさしくリアルです。いじめる側にとってみてそれは冗談だとか、単なる遊びだとか、ケンカだと言っても、いじめられている人には通じません。問題は、いじめにあるのではなく、人間の心の中にあるのです。
もう一点「AR」という言葉があります。これは、今一番新しい言葉だと思います。オーギュメント・リアリティー(拡張現実)ということですが、一例として、ドミノピザを購入しパッケージをスマホで写すと、「初音ミク」(ボーカロイド)が出てきて歌って踊るというものです。
 
【では、どうすればよいか?】
皆さんが経験されている現実の世界と、IT社会によって出来上がってきている色々な空想・妄想、リアリティー(その人にとっての現実)はあるけれど、アクチュアリティー(実際性)がない世界と、どう接するか?
  • 「財布に入れたSDカード(データ)を落とした」
それは皆さんの会社のデータが全部分かってしまうほどの事故になります。この問題は、大事なデータを簡単に扱えるところ(財布)に入れるということです。これがアクチュアリティーのなさです。
  • 「取引先から今後の受注は受けられないとメールが入った」
WEBとは蜘蛛の巣のように張り巡らされた中をデータがあちこち世界中に回っている状態をいいます。どういう事かと言いますと、皆さんが送受信しているメールは、A地点からB地点までまっすぐ行きません。蜘蛛の巣のどこで誰が見ているかは分からないということです。「取引先から今後の受注は受けられないとメールが入った」というネガティブな要素の場合、メールで返信するのではなく、電話をするか、会いに行くしかないと思います。メールは親指ひとつで謝ることが出来るかもしれませんが、そうではなくて、わざわざ足を運んで頭を下げるということが大事です。それが、アクチュアリティーです。クレーマーなどは、アラ探ししたり、揚げ足をとろうとしたりしているので、ちょっとした言葉遣いに気をつけましょう。
3,「検索していたら、たまたま自社の評判が書かれていたサイトをみつけた」
自分の会社の評価、つまり良いところ悪いところを含め、そこに書かれているのを知ると見たくなるのが人間です。一番簡単な処理方法は、見ないことです。
4,「社内メールをチェックしていたら、社内恋愛が見つかった」
自社の迷惑メールを処理していたら恋愛メールを発見することがあるかもしれません。守秘義務がある仕事をしているとしたら、会社にプライベートが持ち込まれるのは、とても危険なことで、個人的であろうがなかろうが、内部の人間が外部の人間と簡単に情報のやりとりができるというのはとても危ない。皆さんの会社の重要事項も、そういう人間関係によって崩れる危険性を含んでいます。
5,「クレジットカードの請求書に見覚えのないものがあった」
なりすましメールというものがありますが、メールだけで判断し妄想するのではなく、直接電話をしたり、会って話をしたりする方が安全です。へんなメールがきたら、まずは、この人はこんなことを書くはずがないと思って、相手にたしかめるべきです。
 
【まとめ】
皆さんに分かって頂きたい大事なことは、IT社会のコミュニケーションの問題が起きていることは、ITの問題ではなく、ITを使っている人間側の問題です。
最初にお話ししたように、便利になるからといって、効率的になるからといって、いい状態とは限らない。だから、逆に、安易な世界には、妄想やなりすましなどの落とし穴がいっぱいあると考えてください。よく考えないで、人とつながることで、犯罪すら起きるということも忘れないでください。
つまり、どんなにITが発達しても、その向こう側には人がいるということです。インターフェイス、すなわち、ひととひととの関係が大事であること、これを忘れないで頂きたいと思います。ご静聴ありがとうございました。
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