卓話
週報
卓話
例会
ホーム  >   卓話   >   <卓話>「 日本の領土問題はどうなる 」
卓話

<卓話>「 日本の領土問題はどうなる 」

<卓話>「 日本の領土問題はどうなる 」

産経新聞東京本社 特別記者兼論説委員 中 静 敬一郎 様

20140530.jpg只今、ご紹介に預かりました産経新聞の中静敬一郎です。私は先ほどプロフィールで紹介されていた横須賀の防衛大学校の総合安全保障研究科に1997年から2年間いました。元気な自衛官と一緒に小原台、馬堀海岸の上ですが、そこに2年間、学生舎に入って、47歳でしたが、毎日英語の宿題が30ページくら                         い出まして色々苦労した覚えがありまして大変懐かしい土地で、今日は本当に有り難うございました。

時間が余り無いので、レジュメを作って見たのですが、これをしゃべるためには2時間ぐらい掛かるかなと思っています。

実は産経新聞で2007年、丁度、安倍さんが辞めた頃ですが、2007年7月から66回に渡って「やばいぞ 日本」と言う企画をやりまして、そのとき本当に日本は大丈夫かなという状況で、66回に渡って企画を組んだときに、アメリカ大使館がそれを全部英訳して各国の大使館に送っていたんです。その時のアメリカ大使館が付けたネーミングが「Japan on very thin ice」「今にも割れそうな氷の上にいる日本」と言って、そう言うタイトルをつけて配っていました。その時には「本当においこれ日本はやばいぞ」って感じでしたが、今は安倍さんが総理大臣になってかなり元気を取り戻してきて、日本の中でおかしくなるようなことはそう無いと思っているんですが、正直、周りの日本を囲む状況が2007年に比べ丸っきり違ってきているということで、周辺国の方がずっとやばくなって、逆に日本が氷の中に吸い込まれているというか、落とされそうな状況になっています。

では、日本の領土問題はどうなるという話ではあるんですが、今、ここ日本を囲む一番大きな問題は、ご存知のように尖閣諸島です。尖閣諸島は確か中国の海警局という政府公船2隻くらいが領海の外にある接続水域にきている。ちょっと様子を見て領海侵犯してくることをずっと続けているわけです。確か接続水域に入ってくるのは殆ど連日ではないでしょうか。これはある意味で日本の尖閣諸島の実効支配。日本の海上保安庁の巡視船が常時2隻あそこに張り付いて絶対に上陸させない。変なことをさせないと言うことである意味で実行統治しているわけですが、中国がそこに入ってきて自分達もある意味で実行統治しているんだと言うことを示そうとしている状況になっています。ある意味では睨み合い。向こうはですね、領海侵犯するときは、かなり力でもってですね、力と言うかですね、入ってくると。それに対して海上保安庁の巡視船は、ここは日本の領海内だから出て行ってくれと退去要請をしたりしているわけです。まぁ一応ね。ある程度は入ってきているのですが、それほど、まぁそれほど悪さをしてないわけですね。

それで一方、今、皆さんご存知のように南シナ海で中国はですね、石油リグ(リグ=石油掘削装置)で掘削を始めているわけです。この掘削リグはですね、非常になんて言うんですかね、500億円くらいかかったんですかね。今まで上海の沖でやっていたらしいんですが、それを持ってきて掘削活動をしていると。配布させて頂いたレジュメの裏に地図があるのですが、ベトナムの経済水域200海里ですから380キロくらいですか、そこの中に実は中国の石油リグは建っているんですね。ベトナムにしてみると、自分のEZ排他的経済水域で管轄権があるわけで、おかしいじゃないか、怪しからんぞと、ベトナムはある意味、抗議活動、抗議船をだしているわけですね。この中国の理屈は、みなさん信じられないと思うけどね、九段線と言って地図の中の九つの点線の中は全部自分の領海内だと言っているんですよ。海南島からボルネオ島まで自分の領海内だと、1,700キロあるんですよ。1,700キロが自分の領海だと言っているんで石油リグも領海内なので、なんでベトナムは文句を言うんだと言う感じで、ある意味、理屈も無いと言う世界を中国が作って押してきているわけです。九段線、カラーだと赤く塗られているので、赤い舌が中国大陸から出てきている。そう言う代物です。この理屈は1947年位からある意味で中華民国も含めてですが、自分達の領土だって言っているんで、それを中国が自分達の理屈に受け入れてやっているんです。いわゆる国連海洋法条約、EZに反している訳ですので、あんまり大っぴらには言えないのですが、彼らは、南シナ海は自分達の領海であると言う根拠にしています。自分達の掲げた、自分達の原則、自分達の規則を押し通してくる訳ですね。

それを東シナ海の尖閣も中国のヨウケンチと言う外務大臣が2年前の国連総会で尖閣諸島は日本が中国から盗み取ったと演説で話した。盗み取った。中国の言い分は海峡宣言とポツダム宣言に基づいて中国のものだと、それを日本が奪い取ったと。

日本はですね1895年尖閣諸島は日本の領有権があるということを閣議決定しました。このときは先占行為って言うんですかね。国際的な手続きに基づいて談合がいないと言うことで日本が権限を確保したと、それはきちんと示している訳ですね。

1895年の1月ですので、日清戦争の終わる前、日清戦争によって日本が奪い取ったという中国の理屈は成り立たない訳ですね。中国が尖閣諸島は自分のものだと言い出したのは1971年。1895年から1971年までの間は日本の領有を認めていた訳です。何故、中国が領有を言い出したかというと1968年位にエッカーセンという国連の極東なんとか委員会と言うのかな・・そういう委員会があらゆる海峡を調べたところ、尖閣諸島の沖合いには石油資源がどうもあるらしいと報告を出しまして、これで台湾、中国は、ここは自分達のものであると言い始めて、それから実に着々と布石を打っていた訳ですよね。正直言ってある意味、私は日本が甘かったというか付け込まれたところがあると思います。尖閣に関しては1978年に日中平和友好条約をすることになりました。この時に尖閣の問題、当時の自民党も含めてきちんとしないとまずいぞと、日中共同宣言の時に問題になっていた訳です。この取り扱いを含めて非常に慎重論がでていたんですが、中国は何をしたかと言うとですね、百隻以上の船で押しかけてきて毎日領海侵犯を繰り返してきたんですね。1978年の4月ですが、正直言って海上保安庁の巡視船が太刀打ち出来ません。百何十隻、二百隻近い船が来ていたんですね。海上保安庁が上から見るとですね、半分近くの船が機銃で武装していたんです。これは海上民兵というある種の軍事組織で準軍事組織が動員された訳です。これが連日続いてある意味でパニックと言うかちょっと耐えられない心理状況に追い詰められて、そこにですね、鄧小平、当時、中国の副首相ですか、彼が棚上げしようと「今、我々は、知恵はないが、10年後さらにその後の若い世代が知恵を出して解決するだろう」と非常に餌と言うか助け舟を出して、それを日本政府は正式には認めて無いんですが、ある意味、暗黙でそれを受け入れて、当時の園田外務大臣が中国と事を構えたくないと言う事で受けた経緯があります。当時、尖閣ではヘリポートを造ったり、きちんと実効統治を形で示す意味で色んな施設を造る等ありましたが、結局、波風を起こしたく無いと言うことで取りやめたんです。保安庁の巡視船が今は監視活動をしている訳ですが、それ以外はなかなかこの島をきちんと護ることは実は非常にやってない訳です。この後、鄧小平が「この後の世代に任せよう」と言った事がどういうことになったかというとですね、1992年に中国は領海法を決めました。この時にもう自分のものだって言った訳ですよね。ここで実はもう棚上げは1992年終わっていた訳です。日本は何故か中国にやっぱり気兼ねがあるのか、何があるのか、贖罪意識もあったんでしょうが、92年の領海法の時には日本政府は口頭で抗議をしただけなんですね。文書できちんとやっぱり示すことは無かったんです。そこで中国は着々と実績、布石を打ったんです。正直言ってですね1992年それから1978年は日本は遙かに国力は強くて、経済的な力も日本の方が遥かにGDPも含めて大きかった訳ですが、今は中国にGDPも追い越されて世界第2位のGDP大国になった訳ですよね。軍事費も10%以上を20年以上続けている訳ですし、非常に強力な軍隊ができて、さっき言ったように南シナ海で活動して、しかもこれ中国が非常にズルイと言うか、うまいって言うか政府公船を前に出すんですね。

今、東シナ海に百何十隻の船が出ていますが、中国の人民解放軍の海軍はほんの数隻ですね。政府公船を前に置いてある種のソフトイメージを作っている訳です。尖閣諸島に関しても、海警局の政府公船が来て、お互いに睨み合いをしている訳ですが、まだ、そういう意味では人民解放軍の海軍艦艇が前面に出てきて無いのです。ただ状況に応じてどういう事態が起きてくるのか、それはまだ良く読めません。

中国が狙っている事は、多分、ベトナムに対してやっていることは5月2日に石油リグを動かした訳ですが、オバマ大統領がアジア歴訪から居なくなったのが4月29日、要するに29、30、1、2と4日後に中国は力をもって先ず石油リグを置いたと。丁度アメリカが居なくなったそこのタイミングを良く見て、手を打った訳ですよね。

一方で同じ頃にフィリピンが中国の漁船を拿捕しました。ウミガメを勝手に捕っていたと言うことで拿捕したんです。その前にオバマ大統領はフィリピンとの間である種の新しい軍事協定ですが、フィリピンの軍事施設をアメリカ軍も使えるという協定、これをフィリピンとの間で結びました。ある意味でフィリピンにはバックにアメリカが居る訳です。ベトナムのバックにアメリカは居るのか。アメリカはカムラ湾を含めて非常にベトナムには関心を持っているのですが、ベトナムのバックに居るかどうかはっきりしていません。ベトナムが本当に中国と戦う気があるか、アメリカはいったいどうするのか、中国は見ている訳ですね。そういう意味ではベトナムならある意味で掌握できると、フィリピンはアメリカとの間で新しい協定を結んだんで中国はあまり無理なことしないよと。

日本に対してもオバマ大統領は日米首脳会談で日米安保条約第5条を適用すると、それは何かあったら、政権を侵害するようなことがあったらアメリカは出て来ると、それをアメリカ大統領として初めてきちんと担保した訳です。ですから多分、中国はもう少し時間をかけて、アメリカは本当に日本を助けるのかなぁと言うところを見極めながら、今は多分手を出さないでしょう。如何にしてアメリカをこの地域から追い出して行くのかということを、あの手この手を使って多分やってくると思います。

今、あの手この手を使って一番中国がやろうとしていることはですね、歴史問題、歴史戦争ですよね。この歴史戦争は、日本はちっとも反省していないと、ともかく日本を如何にしても陥れることです。日本は第二次世界大戦の結果に対して不満を持っていて現状を変えようとしているということを、今年、世界各国、各地で中国の大使が各メディアにアピールしてキャンペーンを繰り返しています。ついこの前、ロシアのプーチン大統領と習近平が会談しました。来年が第二次世界大戦70周年2015年です。この時に、ドイツのファシズムと日本の軍国主義を破った記念式典をやるということをプーチン大統領と合意した訳です。日本が反省していない。日本が軍国主義を反省していない。これをともかく彼らは言い続けていて、とにかく日本を悪者にしようと今作戦を進めています。安倍さんは12月26日に靖国神社に訪問しました。私は正直言って、これはもう当然の事で、戦争で亡くなった方の慰霊を日本の最高指導者がやる事を総理大臣がやる事は当然のことだと思っていますが、これに対して中国と韓国が批判している訳です。なんと同盟国のアメリカが「失望した」とコメントを出しまして、これは中国にとってある意味で非常に歓迎すべき状況です。この状況を突けば突くほど日米の相手を離反して分断できると多分判断していると思います。この第二次世界大戦の結果をともかく中国は利用します。日本人は戦争に負けた訳ですが、戦犯の問題に関しては、戦後の衆議院と参議院で4回に渡って戦犯赦免決議というのをやっています。これは満場ほとんど全会一致なんです。ですから戦争犯罪人は国連的犯罪人では無いのです。国家として犯罪人、戦犯と言われている人は年金も出して処遇も国内的にはやっています。一方でサンフランシスコ講和条約で東京裁判の判決を受け入れると日本は言っていますので、ちょっとそこのところは矛盾があるのですが、ある意味で日本国内的には戦犯を犯罪人としていません。と言っても、サンフランシスコ講和条約では戦犯を犯罪の判決を受け入れると言うことで、ある意味で二重舌と言いますか二枚舌と言われても仕方がないところでもあるのです。それが日本人のある意味非常に平均的な気持ちなんです。多分そこも中国が狙ってきて、日本はちっとも反省してないということを理屈で多分歴史戦、参戦と言われています。それに加えて、歴史戦も徹底的に戦ってくるでしょう。これが来年にかけて日本にとって非常に苦しい立場に追い込まれるかもしれません。特にアメリカとの分断を狙ってくると言うことで大変注意しなければいけない。それから嘘も平気で言ってくるので、嘘だと言わないと、嘘も100回聞けば本当に聞こえるって言うことも言われますが、如何に嘘だと言うことをきちんと話しをしないといけない訳です。中々この近現代史を教えて来なかった。日本の場合は教えて無いんですね。ですから一体何がどうなったのか、殆どの人が分からない。若い人も日本のこの歴史、近現代史を、この事を殆どみんな理解して無いので、ある意味で中国のこのキャンペーンに非常に負けてしまう危険性がある。私としては是非産経新聞を見て勉強してもらいたいと思っている。大きな国、大国が勝手に決めていく、そう言う大国の論理ってある訳ですね。米中間、これも新しい大国関係と言うことですね。ある意味でお互いの革新的意見を尊重し合おうという革新的利益に、中国がチベットやウイグルだけでなく南シナ海、東シナ海、そして尖閣諸島を自分達の革新的利益だと言ってアメリカに認めさせようとしています。

また一方で中国の海軍の幹部がアメリカの太平洋軍の司令官にちょっと数年前ですが、ハワイを基点に太平洋を米国と中国で分けようと提案しています。ハワイから向こうがアメリカ、ハワイからこっちが中国、こんな馬鹿な事をアメリカは受けないと思いますが、そう言う事を平気でアメリカ太平洋軍の司令官に中国海軍の幹部が言っている訳ですよね。だから彼らがこの時にどこで何をどういう風に決めるのか日本は非常に注意して大国の動きを見て行かないといけないと思っています。でも国際的関心に対して日本人は薄いと言うか、国会は毎日、集団的自衛権の集中審議をやっているんですけれども、あまりそう言う世界はどうなっているのか、中国がどう考えて、アメリカがどう動くのか、あまり日本人、国会での論議が少ないですよね。関心を如何に盛り上げてなんとしても日本の国の国益をきちんと護っていくと、そのためにどういう知恵を働かせて誰を仲間に引き入れていくか、勝手な事はさせないと思いながら日本がある意味で弱い部分、特に防衛に於いて非常に手抜きをしていましたので、その辺のところを如何に改めるか。先ほど集団的自衛権の話をしましたが、これもある意味、国家として固有の権利ですから、きちんとまとめる。これによって日米同盟がかなり強くなりますし、他の国に対してもスクラムを組んで力をお互い分かち合えることが、中国に対する大きな抑止力となると思います。

それから今、グレーゾーンの問題が出ていますが、これも日本は主権が侵害され排除する行為は、平時の自衛権と言われ、日本は執らないことにしていたんですよ。でもそれではとても尖閣諸島に中国の海上民兵が入った場合に、これを排除する事が出来ないということは日本の国を護れないということですので、これをきちんとする。ある意味国防の大穴を如何にして塞いでいくかと。これをしながらやはり日本は日本の言い分をきちんと世界に言っていくと。特にですね、第二次世界大戦の結果については色んな日本人の思いもありますし、難しい事はあるんですが、戦後、日本が平和でよその国に対しても日本人が如何に頑張ってきたかを。中国が日本に軍国主義が復活すると言っても、日本人は何を馬鹿な事を言っているんだと思うんです。しかし、そういうふしがあると言ってそれを理由に中国が軍事行動に出る事は可能なんです。何故かと言うと、国連に旧敵国条項というのがあって、旧敵国、日本、ドイツなどの当時の連合軍に対する枢軸国ですね、これに対して何をしてもお咎め無しという国連安全保障理事会の権限外で勝手な事ができるという取り決めがあります。ある意味で日本の軍国主義が復活しているんで、その懲罰に中国が出たということで尖閣諸島を占領しても、その理屈が成り立つ恐れがあります。こんなことがそんな簡単に行くわけではありませんし、実際問題としてそう簡単に行く状況でも無いんですが、そういうことにも注意をしていかないと、ありとあらゆる手を使って、日本を貶めている国がある訳です。

時間もちょっと来たのでこの辺で終わります。日本としては色々、国の護りに国民がひとつ心にして、問題点は改めて、日本は日本の言い分をきちんと世界に発信して国内に発信して、国を護ることが大事だと思います。

以上です。どうも取り留めも無い話ですみませんでした。

ホーム  >   卓話   >   <卓話>「 日本の領土問題はどうなる 」
ページの上に戻る