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<卓話>「 五感で旅する海外旅行 」

20130315.jpg(株)JTB首都圏 東日本海外旅行仕入販売部
部長 伊 藤   智  様

1.はじめに
皆さん、こんにちは。JTBの伊藤でございます。横須賀から転勤して、早いもので丁度2年が経ちました。横須賀で勤務したのは僅か1年でしたが、本当に皆様方にお世話になり充実した内容の濃い1年でした。改めて感謝いたします。そして本日、退会したにもかかわらず歴史と伝統のある横須賀ロータリークラブで卓話をするチャンスをいただき、非常に光栄に思っております。
まず、現在私は、「東日本海外旅行仕入販売部」という部署に勤務しております。業務内容は、成田・羽田・新潟・茨城空港から出発する国際線(航空)の座席仕入と料金交渉です。個人や団体を問わず、弊社にお申し込みいただいた全てのお客様の航空座席の仕入を行っています。現在の就航航空会社は、日系の日本航空と全日空を含めて約70社です。1日に何便も飛んでいる航空会社もあれば、週に数便という航空会社まで様々です。首都圏発で一番便数が多い都市は、1日30便前後運航している「ソウル」です。また、一番便数が多い国は、「中国」で1日50便前後も運航しています。※季節により若干の増減があります。
2.日本人の海外旅行について
(1)旅行者数    ※( )内は人口を1.2億人とした場合の出国率
・2012年推計  約1850万人(15.4%)
・2013年予測  約1900万人(15.8%)
2012年は、これまで過去最高だった2000年の約1780万人を抜いて新記録となりました。 1日当たり約5万人のお客様が海外旅行へ出発している計算になります。また、その旅行者数の約60%は成田空港と羽田空港から出国しております。
 そして、出国率は約15%強です。近隣の韓国(25%前後)や台湾(40%前後)と比べると低くなっております。
(2)渡航先ベスト3
 観光や出張を合わせて最も多い渡航先は「中国」で次が「韓国」です。毎年この順位は変わりませんが、第3位は「台湾」か「香港」で年によって変動します。
3.五感で旅する
次に、私が五感という視点で思い出に残っている国、場所、事柄をお話しいたします。
(1)視覚
 広大なサバンナと生きるための過酷さが目に焼き付いている「ケニアのマサイマラ国立保護区」です。日本からケニアへの直行便はなく、首都のナイロビまではヨーロッパや中東あるいはアジアの都市を経由して約20時間かかります。そこからプロペラ機(数十人乗りのセスナ機)に乗り換え1時間ほどでマサイマラに到着(車だと5~6時間)します。
 マサイマラにはいくつかロッジが点在しており、そのロッジの近くに簡易空港があります。簡易空港といいましてもターミナル等は無く、滑走路は草を刈って平らにしただけの赤土で土煙が凄く舞い上がります。タクシーで順番に下車するように、ロッジ近くの簡易空港を行き来して乗り降りします。
 マサイマラでは3~4日滞在し、毎日朝と夕方に2時間余りのサファリドライブを実施(動物は日中活動しないため)します。地平線すら見えない広大なサバンナをサファリカー(ランドクルーザーのイメージ)に乗って野生動物との出会いを求めに行きます。電線や建物、標識等が一切ないのにドライバーとガイドは道に迷いません。また、視力の良さには驚かされますが、毎回、動物達に遭遇するとは限らず、運が良ければ近くで写真が撮れるイメージです。まさに「生活の場にお邪魔する」感覚で、時には動物の死骸(鷹が飛んでいる下には必ず死骸があります)や骨が転がっており、生きる過酷さを実感します。
 宿泊するロッジはテント風の作りで、窓はガラスではなくテントの一部をくり抜いて網戸のネットを張り付けているイメージです。夜は上部に丸めてあるカバーを下ろすだけの簡単な作りで、動物や鳥の鳴き声や風雨等、外の音が良く聞こえます。また、電線や電話はなく自家発電と携帯電話が頼りです。明りのつかない時間やお湯の出ない時間があり、モーニングコールはドアノックです。ただし、過去はイギリスの植民地だったため、食事は洋食中心で美味です。
(2)聴覚
 済んだ空気に鳴り響く教会の鐘の音色が忘れられない「ドイツのシュヴェービッシュハル」です。場所は、フランクフルトの南東、ハイデルベルクの東に位置しており、古城街道の途中にあるコッハー川の両岸に開けた町で、その旧市街には古い木骨組みの美しい家並みが残り、中世都市の面影を今に伝えております。通常は観光コースに入るような町ではありませんが、ロマンチック街道で有名なローテンブルクからハイデルベルクへ移動する途中、偶然トイレ休憩で立ち寄りました。たまたま立ち寄った田舎町の美しい街並みに参加者一同息を呑んだばかりでなく、偶然日曜日の午前中だったため、誰も歩いていない朝露に濡れた町に教会の鐘が鳴り響き、その音色が今でも耳に残り忘れられません。
(3)触覚
 雪解け水の冷たさで手が痺れた「カナダのコロンビア大氷原」です。カナディアンロッキーと言えば、絶対に外せないアトラクションがコロンビア大氷原の雪上車観光です。南のバンフからは距離約200km、時間にして3時間。北の玄関口ジャスパーからは約100km、1時間半。車以外にアクセス方法はありません。雪上車観光は所要1時間30分で、まずは普通の観光バスを使用したシャトルバスに10分ほど揺られて雪上車との乗換え口まで移動します。雪上車は56人乗りの特殊車両で、タイヤの直径は巨大で約  1.5mもあります。出発してすぐに滑り落ちてしまうのではないかというほど急な砂利道の下り坂を通過し、これを過ぎるといよいよ氷河上となります。周りは一面真っ白で、雪上車に揺られて約20分で折り返し地点に到着します。ここで実際に氷河の上に降り立つことができ、氷の厚さは300mもあります。足元にそんな厚さの氷があるとは、とても不思議な気分になります。ここで巨大なタイヤの雪上車と記念撮影、そして氷河上を流れる氷河の溶け水の味見もできます。痺れる位の「水の冷たさ」に感動し、その感触が今でもこの両手に残っています。なお、ツアー中はトイレがありませんので注意して下さい。
(4)味覚
 味覚には自信がありませんので、あくまでも個人的な意見としてお聞き下さい。これまで世界各国の色々な料理を食べましたが、やはり日本が一番だと実感しています。日本食もさることながら、世界各国の料理を食べることができ味も最高だと思います。現在お付き合いしている外国の航空会社の支社長(日本駐在員)の方々からは、自国で食べるより日本で食べる自国料理の方が美味しいという話をよく耳にします。(ただし、味付けは日本人向けにアレンジされているようです。)
(5)嗅覚
 まずは何と言いましてもフランスの「コニャック村」です。パリの南西、ボルドーの北に位置し、村に近づくとコニャックの匂いが漂い、お酒の弱い方は酔った感覚になるほどです。街中には、カミュ、ヘネシー、オタール等の葡萄畑や工場への看板があり、いつも製品で目にする銘柄だけに不思議な感覚にとらわれます。
 また、大韓航空機内のキムチの臭いも忘れられません。以前の大韓航空は、機内へ入るとキムチの臭いが充満しており、目を瞑って搭乗してもそれと認識できるほどでした。ただし現在では、機材、食事、サービスとも超一流で、アジアはもとより世界を代表する航空会社の一つとなっております。
4.貴重な経験・体験・驚き
(1)パスポート
 お客様のパスポートが盗難されたり紛失したりするのは日常茶飯事でした。中には枕の下に置いて寝て、そのまま置き忘れたお客様もおります。また、出発当日、期限切れパスポートや奥様のパスポートを間違えて持参したお客様もおります。
(2)スーツケース
 ヨーロッパを周遊している最中、ポーターのストライキにより全スーツケースがアメリカ(シカゴ)へ誤送されたことがありました。手元に戻るまで4~5日かかったため、下着や化粧品等を買いあさりお客様へ配布してその場をしのぎましたが、撮る記念写真は全て同じ服という状況でした。
(3)米ドル札
 金額が違えど大きさは同一で、米国内では盲人差別という裁判が起こるほどです。チップを渡す際には、金額が見えるように折ることが大切です。
(4)ヨーロッパのサマータイム
 サマータイムとは、夏の間の日の長い期間に時計を1時間進めて昼の時間を長くする制度で、欧米を中心に世界の約80ヶ国で実施しております。ただし、夏といいましてもヨーロッパでは3月最終日曜日の午前1時から10月最終日曜日の午前1時までとなっております。サマータイムが始まると、町中いっせいに時間が変わるかというとそうでもありません。お店や街中で見かける時計や電光掲示板は、切り替わっていたりいなかったりして、日本的な感覚でいると境目の日は多少混乱します。
(5)断食
 ラマダン(月の名)に1ヶ月ほど飲食を断つもので、暦の関係で毎年11日ほど早まります。飲食を断つのは1日中ではなく、日の出から日没までです。逆に言いますと、日没から日の出まではいわゆる「食べ放題!」となり、レストランは大繁盛し人々は夜型の生活となってしまい、断食なのに体重が増えるという現象も起こるそうです。
※旅行者や重労働者、妊婦、病人、乳幼児など合理的な事情のある場合は断食を免除されます。
(6)ダイバート
 濃霧の影響で、成田空港に着陸予定だった飛行機が羽田空港に着陸した経験があります。羽田空港で降機できるのではないかと一瞬喜びましたが、入国審査等の関係でそうはいかず、濃霧が晴れるまで待機した後、羽田空港から成田空港へ向けて飛び立ちました。距離が近いにもかかわらず、所要時間は1時間ほどかかりました。
(7)出発遅延事故
 これは国内線での出来事ですが、搭乗券配布後にお客様が勝手に別行動をとり予定の飛行機に搭乗しなかった事がありました。搭乗券が発券されているにもかかわらず、その方が搭乗していないため大騒ぎになり、不審な預け荷物がないか全ての荷物を降ろして確認したりしたため出発が大幅に遅れました。お客様へしっかり案内しなかった添乗員の私に責任があるということで、羽田到着後、機内アナウンスで真っ先に呼び出しされ顛末書を作成し注意喚起を受けました。
以上で私の話は終わりますが、引き続き皆さんとお会いできた縁を大切にしたいと思います。一生の間にお会いする方々はほんの一握りです。テレビやインターネットで色々な人と接したり見たりする機会はあるかもしれませんが、実際に会って話をしたり深い関係を築けるのは本当に一握りです。皆さんとの出会いも大切にしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

 

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