卓話
週報
卓話
例会
ホーム  >   卓話   >   <卓話>「 腹腔鏡手術について 」
卓話

<卓話>「 腹腔鏡手術について 」

2月5日 第3142回例会
 
<卓    話>          腹腔鏡手術について
長 堀   薫 会員
 皆様こんにちは。
 腹腔鏡手術についてたくさんのニコニコを頂いてプレッシャーを感じております。加藤会長には「僕は勤勉なロータリアンではないのですが、ロータリーに来ますと色々なご相談を受けます」とお話ししたところ、このような機会を頂きました。会長ありがとうございます。テーマの候補をあげましたところ藤原さんが「今のUP TO DATEだ、腹腔鏡がよい」とういことでまとめてみました。
 私は2001年から外科部長で横須賀共済病院に赴任したところ、最初の頃は年に200件くらい手術をし、バリバリやっておりました。院長になって1500人の職員がいきいきと自分の力を発揮して働く、そして市民に良い医療サービスを提供する、患者さんも職員も満足する病院にするということをミッションにして事あるごとに話しております。ただ、アクティビティも高く、テニスは若くて強い奴が集まって、横須賀実業団トーナメントでは数回優勝しました。防衛大学や自衛隊とも戦いました。沢山うまい人が集まると補欠になってしまったりするのですが、院長になってなかなかできなくなってしまいました。葉山でウィンドサーフィンを始めたところ、真冬の海で遭難しかけて1キロ泳いで帰ってきたと冗談で言っていたら事務長から真顔で「危険なスポーツとスキャンダルは避けてください」と言われました。今は安全な仲間と芝生の上で遊んでおります。山田さんはじめ温かく優しく接して頂けて感謝しております。
 腹腔鏡下手術とは『腹腔鏡』とよばれるスコープで腹腔内(お腹の中)を観察しながら小さな傷で行う手術をいいます。摘出した臓器を体外に取り出す径3-5㎝と径0.5-1㎝の2-3か所切開して、中央に穴の開いたポートをその傷から入れ、腹腔鏡や鉗子を出し入れします。大きくは内視鏡外科に含まれ、おなか以外でも肺や食道に対する胸腔鏡、耳鼻科、脳外科など、各科でスコープを使って体に負担の少ない手術が行われています。難点でもっとも大きいものは手が直接は使えないということです。限られた動きしかできない鉗子類に頼らざるを得ない。繊細な手さばきができない。そして、触覚を失ってしまいます。そしてモニターの二次元画像上で手術を進めるため、術野の遠近感がなくなってしまいます。さらに、両手を動かす体の向きとモニター画面は、同じ方向にはないために目と体の向きの数十度の差を頭で補正しなくてはなりません。
したがって、高度の炎症や癒着があるとき、進行の強いがんなど複雑な手技が必要な場合は開腹に移行して手術を進めることになります。
 対象の内臓ですが、最初は胆石です。まず胆のうの摘出が対象となりました。1987年にフランスのムレーが嚆矢となり、日本では1990年に帝京大の山川先生が先鞭を切られました。小生はその翌年に山梨で最初に行い、当時は県内の病院15か所くらいで手術して回っていました。胆のうから始まり1990年代半ばから、胃や腸の早期がんに対して腹腔鏡下に切除が行われ始めました。当初は確実に取り切れるのかと、特に従来の開腹手術の外科医たちから不安視され議論がありました。現在では大腸がんについて、早期がんでは腹腔鏡 vs 開腹では差がないとの結果が出ています。
 腹腔鏡では炭酸ガス3リットルぐらい入れてお腹を膨らませて操作します。胆汁自体は肝臓から分泌されて、1日500ccくらいここに胆管というものがあるのですが、ここを通って十二指腸に流れだします。胆嚢は胆汁を濃縮、貯めておく装置で脂分が十二指腸に来ると、濃縮胆汁を輩出して消化を助けるということになります。それから胆嚢自体はとっても胆汁の分泌量には変わりないということです。胆嚢と胆管を結ぶ管、胆嚢管これを露出して切ります。
 10倍くらいの画面で見ています。少し血が出ても大出血に見えます。かなりこの操作は慎重に出血しないようにやっていきます。結果、腹腔鏡手術は出血量の少ない手術になります。癒着の強い、炎症のうんと強い場合はその場で開腹に切り替え安全を重視します。
 今では、さまざまな臓器と疾患が腹腔鏡によって治療されています。外科では、難度の高いとされる直腸がん、肝切除、膵臓、脾臓、また食道にも行われるようになっています。泌尿器科では腎臓や前立腺、尿管のがん、婦人科では卵巣や子宮の筋腫やがんの摘出などです。初めのころ、傷が小さく見た目が良い、美容的に優れているのが利点と捉えられていましたが、術後の痛みがずっと少ないことが明らかになり、回復が早い、従って入院期間が短い、術後の癒着が少ないなど患者さんの術後全般に良い結果をおよぼすことがわかってきました。
 外科医の側からも、モニターで術野が7-10倍となるのできわめて精緻な操作が可能となる利点があります。手術室の全員が手術をすみずみまで見ることができるため、若手にとってスキルを学ぶための教育効果が大きいこともわかってきました。患者さんに取ってメリットが大きいものの、技術的なハードルが高いという難点があります。外科、泌尿器科、婦人科など各部門で生の手術をビデオで審査して、技量が達していれば合格となります。当院では自分を含めて、5人の技術認定医がおり、教育、指導に携わっています。
スキルを習得するためにはトレーニングが必要です。この手術はテクノロジーの進歩に伴って適応が広がっている面も強く、さまざまな手法が開発されています。すべての手術はDVDに保存され、模範的な動画は教材用として配布され、手術前に手技やプロセスを確認することができます。
横須賀共済病院の手術件数は、見た目がきれい、回復が早い、精緻にオペできるということで患者さんのニーズ、医師のモチベーションとも高く、各部門で急増しています。この1年でざっと外科、泌尿器が各600件、婦人科が100件、他に内視鏡を使って、肺がんなどに180件、耳鼻科で80件、脳外科が30件など、全7000件中の1600件が低侵襲の手術となっています。
最後に、腹腔鏡下手術にはさまざまなメリットが多いものの、制約もあり全てのケースで可能なわけではありません。医師とよく相談し、最適な治療法を選択することが重要です。
先日「人民日報」にインタビューを受けまして、共産党の機関紙なのにビジネスの匂いがぷんぷんしていて面白いなと思いました。いずれ中国に行って仕事をしているかもしれません。
うちの健康管理センターは「強化したい」ということで、最新の技術と専門医の目が届くというのが特徴です。私のところにパンフレットがありますのでどうぞお持ちください。ということで、まとめです。
良い手術をやっていきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
ホーム  >   卓話   >   <卓話>「 腹腔鏡手術について 」
ページの上に戻る