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司会業こぼればなし

卓話者:宮内恒雄 様 フリーアナウンサー
 
司会業こぼればなし ナウンサー 宮内恒雄 様
難しい話はしませんので、気楽にお付き合いいただければ幸いです。
局アナを少しやりまして、フリーになって41年です。高橋圭三さんや宮田輝さんというような方々の現役時代を知っているので、いい時代にいい職業を選んでいい番組をやらせてもらったなぁ、という実感があります。
例えば、野球放送でもかつてパ・リーグはなかなか放送されなかったのですが、30年ほど前にパ・リーグの広報部長だった伊藤一雄さん、ドラフト会議で司会をしていたパンチョ伊藤さんとテレビ東京でパ・リーグの番組をやったことがあります。その番組にゲストで来てもらった野茂秀雄投手がのちにメジャーに移るとき、トルネード投法がアメリカで通用するのかと言われましたが、伊藤さんが「アメリカにはトルネードで活躍している投手はたくさんいるんだ。野茂も通用する」と太鼓判を押して送り出したことを覚えています。
そんなパ・リーグの番組をやっていながら“ダマテン”で、TVKで当時の大洋ホエールズの応援番組をやったことがあります。これは、パ・リーグにもセ・リーグにも内緒でやっていたんですが、のちにバレて叱られてしまいました。そういう中で、いろいろと面白いユニークな選手たちとも交流がありました。面白い人と言えば、加藤選手なんかは最たる人です。お亡くなりになった方も多いですが、平松さんは今でも解説で活躍していらっしゃいますね。
スポーツ番組もいろいろやりましたが、経済番組もやりました。これもテレビ東京ですが、「この1、2年のうちに上場する」という成長企業を取り上げる『快進撃カンパニー』という番組です。この番組でたくさんの経営者にインタビューしました。中でも印象深いのはソフトバンクの孫正義さんです。この方は、今や蓄財3兆円と言われていますけれども、35年ほど前にこんな人になるとは想像できませんでした。
孫さんの素晴らしいところは、人の話をしっかりとよく聞いて、いつもニコニコと答えるところです。この姿勢は35年前も同じでした。経営の面では中長期のビジョンを明確に持っていて、私は「経営者というのは期間を区切って取り組んで、達成すると次のステップに進んでいくのだな」ということをあの方から教わりました。
もう一人、忘れることができないのは、ローソンの5000店舗を達成したときの中内功(本来のつくりは刀)さんです。5000店舗の経営者夫妻10000人を招待するのは無理だとしても、7000人集めたパーティーを福岡ドームでやろうということになりました。博報堂と組んで半年間、練り上げた企画の最終稿を中内さんに持って行ったら、「5000店舗達成なのに日本でやることないだろう。ハワイだろう」と鶴のひと声でひっくり返りまして、7000人を2回に分けて、3500人のコンベンションをハワイでやりました。そのときに、あのこわもての中内さんが声を上げて泣いたのです。
パーティーの最中にハワイと日本とを電話回線で結んで、店舗のスタッフの声を会場に流したのです。ある店のスタッフが経営者の夫妻に、「店は私たちがしっかり守っていますから、安心してください。2度目の新婚旅行のつもりでゆっくり楽しんできてください」とメッセージを送ったら、その店のご夫妻が立ち上がって泣き出したんですね。それにつられて、あの鬼瓦みたいな中内さんと奥様も泣き出したのです。非常に印象的でしたね。
宮内の司会は面白いということで、それから亡くなるまで18年間、かわいがってもらいました。ただ、阪神淡路大震災のときに500億円の負債を抱えて、結局、立ち直れなかったですね。その後、浜松町のダイエー本社があったビルに“ファウンダー室”、創業者室を作ってご本人はそこに顔を出していましたが、私も何回かご機嫌伺いに行ったことがあります。その頃は、手足をもがれるとこんなになるのか、という状態で、『人とはもろいものだな』と思いましたね。
中内さんとの関係で印象に残っているのは、王貞治さんです。
王さんと中内さんと私とで、ダイエーとローソンの幹部を集めて鼎談をやりました。“世界の王”の素晴らしいところは、周りにとても神経を使うところなんですね。本番の前に王さんが「宮内さん、このスーツの下にダイエーの制服を着て、途中で脱ぐのはどうですかね」と相談に来られたのです。賛成をしましたら、鼎談の最中に「ちょっと脱いでいいですか」ということで、王さんがスーツを脱いだらダイエーの制服が出てきて、ちょうど中内さんもダイエーのシャツを着ていて、ダイエーとローソンの幹部が集まった会場全体が一体感に包まれて、たいへん盛り上がりました。
それから、忘れられないのは、昭和天皇が崩御されて喪に服したあと、今の天皇陛下の即位の式典が皇居で行われて、平成2年に外で祝賀の記念式典が行われたことです。そのときも、広告代理店の入札がありまして、博報堂が担当することになりまして、その頃、博報堂と仕事をしていました私に、「なんとしても、この式典を成功させてくれ」と声がかかりました。それから、宮内庁と博報堂と関係の制作会社と私とで、何度も何度も打ち合わせを続けましたが、そのときに宮内庁の侍従の方が「今の天皇陛下は昭和天皇と違って、とてもさばけたお方だから、式典をきちんと進行させる中でも、ときには和やかな雰囲気を出してほしい」とおっしゃいました。それで私は調子に乗ってギャグを入れたりしましたが、どういうわけか宮内庁が気に入ってくださって、それから天皇皇后両陛下がご臨席になる式典や祭事で3度も司会を務めさせていただきました。
何が今の平成天皇の素晴らしいところかと言いますと、国民の中にどんどん入っていきたいという姿勢がベースになっているところです。例えば、文化会館の行事でも東京国際フォーラムの行事でも、お歩きになる導線はすべてこまかく決まっているのですが、それを無視してどんどん行かれるものですから、侍従さんは困っていましたけども、それほどフランクな両陛下でした。そして、客席のほうからステージに上がられるときに、美智子皇后がニコッとしてくださる、あの笑みは百万ドルでしたね。それから、私はずっと美智子皇后のファンになりまして、お二人を見てきました。“開かれた皇室”とひとことで言いますけれども、50センチとか1メートルの距離にいてしみじみと実感しました。
この仕事をしていますと、いろいろな方とお会いできる、それが本当に私の喜びであり、財産です。
1年前にガバナーになられた渡辺さんも素晴らしい方で、今日、こちらの会場に伺ったとき、「よく来てくれましたね!」と声をかけていただきました。今日のいちばんの収穫です。それから、今度ガバナーになられた日本精麦の田中賢三さんも頭の中の引き出しが本当にたくさんあって、ウィットに富んだ頭のいい方ですね。こういう方々がガバナーになるんだなぁ、と感心いたします。
歴代のガバナーが私のやっている『夕なび』という番組に出てくださっています。
昨日は、東海大相模のパブリックビューイングの会場から生中継を入れまして、今日は凱旋の模様を収録してスタジオに送信して、編集をして生放送に入れるという“撮って出し”の方法で放送します。地デジの11チャンネルで6時半から放送しておりますので、お時間がありましたらご覧いただければと思います。
  
長時間、ご清聴ありがとうございました。
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