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<卓話>横須賀刑務支所の紹介

<卓話>横須賀刑務支所の紹介
横須賀刑務支所 支所長 鈴木 俊徳 様
2011930.jpgご紹介いただきました、横須賀刑務支所長の鈴木です。私は府中刑務所を皮切りに関東近辺を中心に  13ヶ所で勤務し、今年で刑務官生活34年になります。
本日は刑務所の紹介をいたします。まず沿革ですが、東海鎮守府が所管の軍人、軍属に対して行刑権が与えられ、明治16年11月に三浦郡大津陣屋跡に新獄舎を建築して移転したのが始まりと言われています。その後、横須賀鎮守府監獄署あるいは横須賀海軍監獄、それから戦前は横須賀海軍刑務所という海軍の刑務所として運営され、戦後所管が変わり横浜刑務所横須賀刑務支所と改称され、一般の被告人、受刑者が収容されるようになり今の形になっています。昭和26年4月には中国人受刑者の集禁施設となり本所に昇格しています。昭和30年12月、日本国に駐留する外国軍隊の構成員および軍属ならびにこれらの家族である受刑者の集禁を開始しました。この時に日本で唯一の米軍の軍属を収容する施設に指定されました。昭和 47年に受刑者分類規程が制定され、収容区分がF級と定められました。そして昭和53年3月に現在地に移転しました。平成8年4月には、横浜刑務所の改築にともない、これまで横浜刑務所で製造していました全国の刑務所で使用する石けん工場が横須賀刑務所に移設されました。平成10年4月には、受刑者分類規程が変更されて、また、収容増もありましてF級のほかにA級いわゆる初犯で組関係がない者も収容する施設と定められ、そして、平成19年4月に組織改編により横浜刑務所横須賀刑務支所となり現在に至っています。現在収容しているのは、犯罪傾向が進んでいないA級受刑者、さらには我が国唯一ですが、「日米地位協定」に基づき、アメリカ合衆国軍隊の構成員、軍属とその家族を収容しています。そのほか、横浜地方検察庁横須賀支部管内の刑事被告人、被疑者を収容しています。
資料の表紙の支所写真をごらんいただくと、日本、アメリカの国旗のほかに国連の国旗が掲げられていますが、これは戦後、国連軍の軍属も収容したからで、また米軍と定期的に処遇に関する会議を開いていて、その時に掲揚します。施設の規模ですが、敷地面積は64、076㎡、建物が14、768㎡、収容定員は257名と刑務所としては一番小さな規模になります。ただし、組織的には大規模施設並みで、支所長以下2課1部門、庶務課と医務課、処遇部門が設けられています。収容人員の推移ですが、平成6年を境に若干増えてきています。さらに平成10年から急激に増えているのは、A級を収容することにしたためです。平成16年には257名と収容率は100%になりました。その後数年200名超でしたが、平成20年を境に減少し、これは同年にPFI方式の刑務所が、山口県の美祢、島根県の島根あさひ、兵庫県の播磨、栃木県の喜連川と全国で開所され、これらはA級受刑者を収容したからです。平成23年3月は134名でしたが、今日現在では160名と少し増えています。これは先般の大震災の被害関係で、東北地方へ収容する分が調整されていることもあります。
受刑者の一日の動きですが、起床は6時40分、昼食が12時、就寝が21時、本人が勉強を希望すれば、22時まで延長が可能です。昼食後12時25分から全収容者をグランドに集め、1時間の運動をさせています。
受刑者に対する矯正処遇は、基本的には三本柱で、1.作業、2.改善指導、3.教科指導となっています。作業は、石けんなどの物品を製作する作業や労務を提供する作業などの「生産作業」、所内の炊事、洗濯、建物の修繕をする「自営作業」、後ほどお話する「職業訓練」があります。改善指導は二本立てで、被害者感情の理解指導などの「一般改善指導」と、各施設に指定された改善指導である「特別改善指導」があり、当所では、薬物依存離脱指導、性犯罪再発防止指導、被害者の視点を取り入れた教育、交通安全指導、就労支援指導となっています。ただ、実際に当所では性犯罪防止指導と、交通安全指導も対象者がいないので行っていません。教科指導は、算数、国語といった補習を行っています。Fで収容されている者に対しては米軍の横須賀基地に協力していただき、講師を派遣いただいていたりしています。
どのような犯罪で入ってくるのかですが、どこの刑務所もだいだい共通ですが、窃盗が一番多く、次に現在では覚せい剤、詐欺、これが三本柱と言われます。外国人受刑者が現在当所には13名ですが、一番多いのが強盗殺人、次に強盗致傷、そして強姦同致死傷と、「強」がつく犯罪が多いです。
受刑者の入所度数を日本人で見ると、初犯を入れているということで、初犯が74%、初犯刑務所なのになぜ2入、3入、4入がいるのかということですが、出所してから5年以上経過して次に罪を犯すと初犯扱いになるからです。
日本人受刑者の刑期の内訳では、当所の場合1年、2年以下というのが多く、5年以下まででほとんどですが、外国人受刑者では、無期が3名、7年以上10年以下が4名、5年以上7年以下が3名、5年以下が3名という状況です。軍人であれば、刑期にかかわらず、全員収容するからです。
平均刑期は、日本人は2年11月ですが、外国人は5年10月になります。日本人受刑者の年齢は、 A級でも基本的に26歳以上を対象としていまして、30歳未満が15名、40未満が43名、50未満が30名、60歳以上が12名、約9%ですか、一般の刑務所は13%ぐらいですから、当所は比較的若い受刑者が来ています。一方外国人受刑者にはしばりがありませんので、26歳未満が6名で一番多くなっています。40歳以上が2名いますが、これは20歳代後半で入所して刑期を10年以上努めていることになります。平均年齢では、日本人が43.1歳で、外国人では29.4歳です。
懲罰執行件数では、収容人数の多かった、平成18年に120件、20年以降人収容員が減り、懲罰件数も減ってきました。現在も50件から60件ぐらいで推移しています。
外部病院への移送件数ですが、当所の診療所は24時間の管理ができませんので、何かあれば外部の病院で入院、治療を受けますが、だいたい年間4~5件あります。平成22年は病院に入院していた延日数は67日と多かったのですが、病気の内容などの特殊要因によるものです。
釈放の状況ですが、平成22年度は135名が釈放になっています。そのうち仮釈放が111名、満期釈放が24名となっています。外国人は6名釈放になっていますが、これはいずれも仮釈放です。当所は仮釈放の率が82%ですが、同じA級の静岡刑務所では58%程度と低くなっています。仮釈放では帰住先、引受人が必要になりますが、当所の場合、親族が71名と多く、次に友人、雇い主が12名、保護施設が 28名と、家族との絆がまだ切れていない人が入ってきているのだと思われます。静岡では高齢化も進み、引受の状況が悪くなり仮釈放の対象にならず、率が低くなっているのだと思われます。
宣伝ですが、今生産している石けんで、「ブルースティック」という人気商品がありまして、インターネット等で3本一組、240円で販売しています。職業訓練としての農業園芸科は、当時の小泉総理の後押しもあって、スタートしました。現在では外部講師もお呼びして、各種実習を月2回実施し、植物の育成および管理等の園芸作業に関する基本的知識と技能の付与を行っています。その他の教育活動としては、夏は盆踊り(夏祭り)、秋は運動会があります。「明るい道の会」からは、運動会を支援していただいています。
日本唯一の軍属を収容する施設として職員は誇りを持って勤務しております。今後ともがんばっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
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