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<卓話>巨大地震・巨大津波から生き残るために

8月26日(金) 第2939回例会

<卓    話>  『巨大地震・巨大津波から生き残るために』
三浦半島活断層調査会 企画研修部長   鈴木 進 様

巨大地震・巨大津波から生き残るために わたくしども三浦半島活断層調査会は活断層に関する様々な調査活動や普及活動をしていると同時に、三浦半島を中心とした地質学の調査活動を行っております。本日は先の3月11日東日本大震災からわかってきた様々なことを「巨大地震・巨大津波から生き残るために」というテーマにお話をさせていただき、またこの三浦半島には皆様ご承知の通り「活断層」というものがありますが、そのことに関しても触れさせていただければと思っています。
3月11日の東北地方太平洋沖地震は死者・行方不明者を2万人以上、マグニチュード9.0という今までにない最大規模のものでありました。震源である東北沖海底が幅約500kmにわたり突然盛り上がり、それによって大地震が起こり、津波が発生したというものであります。
今回の震災からわかってきたことは幾つかありまして、その1つは津波のスピードに関してであります。これは従来から言われてきたことでもありますが、沿岸での速度は時速約115kmであり、自動車で高速道路を突っ走っている状態のようなものであります。津波は上陸した後スピードは弱まり時速20km程になりますが、人の足では逃げ切れない、見えてから逃げたのでは遅いということがこれでわかります。
次に津波の高さと建物の倒壊率についてでありますが、先日の国交省の発表によりますと浸水の高さが「2m以下では34%」、「2m以上では72%」となり、津波の浸水が2mを超えるかどうかによって建物への被害が大きく変わってくることがわかります。
 震災後、津波被災者(避難所の生存者を対象)からのアンケートによれば津波からの避難に関して、「すぐに避難した」は約60%であり、一方「すぐに避難しなかった・避難していない」が約40%おり、亡くなられた人を含めると相当の人が避難していないことになります。あれだけの地震でありながら津波の来ることをイメージできなかった結果、大きな人的被害となってしまったということであります。また、「揺れがおさまってから何分後に避難したか」というアンケートに関しては、10分以内が約38%、20分以上たってからが約38%とほぼ同数であります。まさか来るとは! 想像できなかった!ということであります。東北地方は過去にも津波の被害を受けており、さまざまな言い伝えもあるようですが、なかなか日常生活している人にはイメージしにくかったのでしょうか。ひき波が起こり、海岸があらわになった状態をみても逃げなかった、いざそのような状態になった時、正常な判断ができなくなってしまう、或いは甘くみてしまうことが起こるようです。さらにアンケートによると市や県単位で配布・提供されているハザード情報は本当に生きていたかという疑問がでてきました。配布されているハザードマップを「見た覚えがない・ほとんど見たことがない」が全体の80%以上を占める結果となっています。見られていないのであれば配布するだけでなくハザード情報を看板や標識などで、日常的に街中で目に触れる事の可能な「街中ハザードマップ」を合わせて進めていくべきだと思います。
 一方、津波から生徒児童3,000人全員を救った『釜石の3つの秘訣』という例があります。1.「想定を信じるな」、2.「その状況下で最善の避難行動をとること」、3.「率先避難者たれ」の3つであります。
学校での防災訓練や色々な啓蒙をしている中で、ハザードなどの想定をまるまる信じることなく、起こった地震のその状況下で判断し、まず自分自身の命は自分で守りなさい(この地方では“津波てんでんこ”というようですが・・)との教えを日ごろから徹底していることで、今回の津波から児童全員を救ったという報告がされています。
 それから岩手県の宮古市にある言い伝えで「高き住居は児孫(じそん)の和楽(わらく)想え惨禍の大津浪此処より下に家を建てるな」というものがあります。祖先が過去の三陸地震を経験から子孫の平和や幸福
を願って、以前津波が来た高さのところに上記のような碑を建て、言い伝えを残したとのことであります。この地区の人たちはその言い伝えを守ることにより助かった人も多いようです。
また、1854年(安政元年)の安政南海地震津波に際して、紀伊国広村(現在の和歌山県広川町)で起きた故事をもとにした物語である『稲むらの火』(主人公 濱口儀兵衛)は地震後の津波への警戒と早期避難の重要性、人命救助のための犠牲的精神の発揮を説いており、かつて国定国語教科書に掲載されておりましたが、今回の震災を機に、2011年度より再び小学校5年生の教科書に掲載されることとなりました。このような言い伝えは大事であり、真実を裏に秘めているもので大切にしていくことが重要だと思います。
 それでは地元(関東地震)についてお話しいたします。1923年(大正12年)に関東大震災が起こりました。正式には「大正関東地震」といいますが、その影響により;照が崎の隆起、相模川東岸の大地の亀裂、逗子の津波被害、茅ヶ崎市の旧相模川橋脚の液状化などの地形変化が起こっています。また、横須賀市の被害としては;中里町大通りの倒壊、大滝町・稲岡町など市内8ヶ所から発生した火災、国鉄横須賀駅から汐入町にある見晴山の崩壊と生き埋め、田戸小学校雨天体操場の倒壊等がありました。この震災により全体で焼失家屋が212,353棟、火災による死者が91,781人という状況であり、火災被害が大きかったものといえます。
 次に地震の種類についてでありますが、①プレート間地震、②プレート内地震、③活断層による地震、の3つがあります。特に、プレートの沈み込む境界で両者のプレートの間で突然ズレが生じて発生するプレート間地震(関東地震や今回の東北地方太平洋地震)と海側プレートによる陸側プレートの圧縮により陸側の弱い部分がずれて発生する活断層による地震(兵庫県南部地震)は関東地方や神奈川県において心配の一つであります。しかし最も心配なのは先日報道にもありましたが、後者の活断層による地震であります。
 活断層とは「極めて近き時代まで地殻運動を繰り返した断層であり、今後もなお活動すべき可能性のある断層」をいいます。横須賀に影響をおよぼす活断層は5つ(三浦半島活断層群)あることは明らかになっており、武山断層帯を主部とする活断層は今後30年以内に6~11%の確率で地震が発生するといわれています。また3月11日の地震により上記の発生率が上昇した可能性があるとも発表されています。(政府地震調査会7月11日)このような調査・想定を踏まえ、わたしたちは日頃から耐震補強や震災に対する意識を持ち、今後の「減災」に努めていく必要があるものとあらためてご認識していただければと思います。本日はありがとうございました。
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